ACORN: 新時代のモダンジャパニーズダイニング

By 29th November 2019 Japanese, Powderlife Magazine 2020 JP

東京のダイニングシーンに生まれ、 他の追随を許さないモダンジャパニーズ昨冬のACORN(エイコーン)オープンは ニセコの新時代到来を象徴する

ニセコのダイニングシーンは、気取らないオーガニックのコテージ風レストランが中心だが、実際には、ニセコの開発事業者や外国企業が、現代的かつ最高級のディナーを楽しめるようにしようと10年以上前から、ミシュランの星付きを含む世界中のレストランから評判の良いシェフをわたって次々と招聘し、独特の発展を遂げてきた。

昨冬、ちょっとひねりの利いた面白いテーマのレストランが現れた。日本の大企業が、東京で最先端をいく創作レストラン「81」のシェフ永島健志氏とチームを組み、ヒラフ地区の裏通りにある古いログハウスをエレガントにリノベーションしてオープンした「ACORN」だ。同店のクリエイティブディレクターに就任した永島氏は、かつて世界最高のレストランと称されたスペインの「El Bulli」のシェフで、「キッチンのサルバドール・ダリ」との異名を持つFerran Adrià氏の下で修行を積んだ経歴の持ち主だ。

その結果、今までのニセコに無かったレストランが生まれた。そこでは日本の伝統的なおもてなしの心と現代的かつ国際的な影響を受けた調理方法が融合し、五感に訴えかけるような食事を経験できる。それは単に料理を提供するだけではなく、プレゼンテーションと呼べるものだ。飲み物は常に料理に合わせて提供され、店内を満たす香り、周りの雰囲気、ライティング、小道具、料理に合わせて選ばれる音楽、窓から望む景色や全体的な季節感まで巧みに考えられている。

木の階段を上って小屋に入ると、ダイニングの真ん中に置かれた囲炉裏が暖かく客を迎える。永島氏のレストラン「81」で修行を積んだ料理長の青柳陽子氏は、レイアウトのコンセプトについて「日本の伝統家屋において囲炉裏は家の中心です。囲炉裏を伝統的な住宅構成のシンボルとして使おうと考えました」と説明する。客は、囲炉裏端のメーンテーブルか、建物内の少し離れた場所にある、よりくつろげる空間に導かれ、その夜の食事を始めることになる。

ACORNは自らのスタイルを「現代的な懐石」と表現する。懐石はその季節にしか入手できない食材を工夫して提供する、日本料理の中でも最高級のコースメニューだ。こうした懐石の精神は、冬の料理の中にあって待ち遠しいを春の訪れを感じさせるような、料理の表現力につながっている。

青柳さんによれば「モダンジャパニーズ」は彼らのスタイルを表現する言葉だ。「日本の文化の進歩をACORNのスタイルに吹き込んだ、新しいジャンルの料理です」と彼女は言う。
ACORNの理念を良く表す代表的な一品が、カルボナーラパスタだ。正式には「Deconstructed Carbonara(脱構築されたカルボナーラ)」という名のメニューだ。カルボナーラは日本のどこでも食べられる。家庭料理でもあり日本中のレストランで様々なスタイルで提供されている。しかし永島さんと青柳さんは、あえて茹でた卵を使い、トリュフオイルをその中心に注入する。食事の際、卵を切るとトリュフの香りが空間を満たし、カルボナーラ体験の中に新しい感覚を呼び起こす。

ACORN がニセコで迎える2度目の冬、何を期待すべきか。それは「旨み」だ。これは「第五の味」と呼ばれる、言葉では説明しにくい味覚だ。日本料理ではよく使われ、日本語でしか表現できない。青柳さんは「今冬は『旨み』に焦点を当てます。北海道にはまだ知られていない旨みの源になる食材がたくさんあります。それらを探求し、前代未聞の食事体験を再びこのスキーリゾートで披露します」と意気込みを語る。

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